ERGオタクが天気の子を見ました。
普段は旅行系の記事しか書いていませんが、書きたくなったので書きます。
いろんなところに喧嘩を売るただのオナニー記事ですが。
この記事でこのブログに初めて来た方は他の記事も見てみてくださいね。
天気の子を見た感想を一言でいうと、
「君の名は、で爆発的に知名度が上がり、大企業がいくつもスポンサーになってくれたおかげで得た資金を使って2000年代前半のERGを作ってとんでもない数の映画館で一般公開した(もちろん新規ファンのことは一切考えていない)新海誠監督はロックだ」
※君の名は。などの他作品のネタバレはあります。
ERGとは
ERGとはエネルギーの単位であり、1J=10,000,000erg。しかし、なぜか年齢制限がある不思議な概念のこと。
いいね?
新海誠監督の作品はそもそもデートムービーでもポストジブリでもない
正直、なぜこんなに「君の名は。」がヒットしたのかわからない
「君の名は。」が爆発的にヒットし、一方で多くの評論家が酷評している。それは私にとってはどうでもいいのだけれど、世間的には蛆虫扱いされているオタク、もといキモオタ向けの作品である君の名は。(※)がここまで世間に受け入れられたことにビックリです。私のようなキモオタはそう思わずにはいられません。
※私の主観です
キモオタ向け作品として見ると、評価としては「そこそこ」といったところではないでしょうか。ループものにはもっと面白いものがありますしね。
ストーリーはぼちぼち。
キャラが立ってるかどうかという点では結構よかったと思います。
新海誠監督らしい風景描写は売りの一つではあります。
それらを含めて「そこそこ」
君の名は。が幼稚で気持ち悪いと言われるのはその通りです。
キモオタ向けの作品ですよ? 高尚な作品を作っている(つもりの)クリエイターや高尚な作品を見て目が肥えている(つもりの)批評家が幼稚で気持ち悪いと感じるのは当然です。世間的にもその方が正しいと思います。世間(の好み)が変わったということかもしれませんが。
ちゃんちゃらおかしいと言わざるを得ません。
各メディアは碌に調査も取材もしていないのでしょう。もしくは長いものに巻かれているだけか。どちらにせよ、失望の対象です。大きなメディアであればあるほど。
脱線 ~気持ち悪いのは確かですが、一部の指摘は的外れでは?~
フェミと呼ばれる人々や一般人にも言われているのは、口噛み酒を飲んだり、男が女に入れ替わってすぐに自分?のおっぱいを揉むのが気持ち悪いという点ですね。
キモオタ向けの作品と考えると合点がいきませんか?
監督自身も口噛み酒は狙ってると公言してますし。
でもね、考えてみてくださいよ。
世の中の男性が女性の体に入れ替わったときに何をするか。真っ先に自分?のおっぱいを揉む人は多いと思いませんか?
世の中の男性はみんな(全員ではない)おっぱいが好きというのは皆さん同意されるでしょうし、すぐ触れるなら触るのは想像に難くありません。
そういう目的を除いても、最初は気が動転して、女の体になってることを確認せずにはいられないでしょう(瀧君は何度も触ってましたが、世の男性も同じ行動をとるでしょう)。生理的にトイレに行ったり、風呂に入ったりもします。
君の名は。で瀧君がおっぱいを揉むのが気持ち悪いというのは世の男性が気持ち悪いと言ってるのと同じですよ。(そのような人が世の中に多数いるのは理解していますが)
新海誠監督の作品はセカイ系のキモオタ向け作品で精緻な風景描写が魅力
セカイ系の作品でかつ、ERGのテイスト強めで、主人公は童貞ムーブを重ねていくのです。気持ち悪くて幼稚と言われても仕方ないのです。そのうえでキモオタ向けなのです。お察しです。どう考えても大衆受けしません。
しかし、そんな作品が好きな層もいるのです。ERGプレイヤーをはじめとするキモオタです。(全員ではありません)
精緻な風景描写が新海誠監督の作品の特徴です。これは見てもらわないとわかりません。とりあえず、君の名は。か天気の子を見てください。
セカイ系とは
セカイ系の正確な定義はない、というのが正確な表現かはわかりませんが、ありません。解釈が人によりますし、文脈でも変わりますし……。セカイ系が嫌いな人は蔑称のニュアンスを込めて使うこともありますし……。
簡単に言うと、"セカイ"の命運が主人公・ヒロインとその周辺のアクションで決まってしまうような世界観の作品ですね。(私の解釈も入ってる上に正確な表現ではないので、セカイ系プロから見るとアレだと思いますが)
主観入りまくりですが、代表作・有名作を挙げておきますね。
- 新世紀エヴァンゲリオン
- ペルソナ3
- ぼくらの
- 魔法少女まどか☆マギカ
- 雲のむこう、約束の場所
- ほしのこえ
- イリヤの空、UFOの夏
- 涼宮ハルヒの憂鬱
- エルフィンリート
- マブラヴ (特にオルタネイティブ)
とりあえずwikipedeia貼っときますね……
セカイ系を好きな人も気持ち悪いと感じる人も一定数いる
世界の命運を左右する割には小さいコミュニティで物語が動くので、幼稚に見えますし、現実感がないし、という点もあり嫌う人は多いです(オタクの中でも)。
その代わり、ファンタジー感が強くなったうえでお涙頂戴展開ができるので、刺さる人には刺さります。私は好きです。
君の名は。もセカイ系の要素があるので好き嫌いは分かれる。メディアは持ち上げすぎでは?
君の名は。は世界の命運まではいきませんが、一度は滅んだ村の命運を時間を逆行して変えるわけです。「代償もなく、死者をよみがえらせる」点が気に食わない人も結構いるみたいです。
セカイ系の要素がある以上、好き嫌いが分かれるのでそんなもんだと思います。なのに、世間的な評価が異様に高いような気がします。世間的に君の名は。を酷評してる人が少ないですか?いや、世間的にいい評価が多いから言えないだけかもしれませんが。
キモオタ向け作品をデートで見るのも?ですが、ポストジブリだの騒ぎ立てているメディアは反省してください。まともに調査やら取材やらしてるのか?
きちんと過去の作品を見たうえで新海誠監督を酷評している実話BUNKAタブーとかいう下品な雑誌の方がよっぽど調査・取材していますよ。
※実話BUNKAタブーや新海誠監督の酷評記事を評価してるわけでありません。下品な記事ばかりです……。
天気の子について(ネタバレなし)
長い前置きですみません。ネタバレなし(0ではないし、粗筋は書かざるを得ません)で行きます。
君の名は。効果で数々のスポンサーがつく
CMが頻繁に流れているものだけでもこれだけあります。
さぞ、資金があることでしょう(実態はわかりませんが)。
しかし、それは逆に口を挟まれることも増えるということです。
各メディアからもいろいろ言われるでしょうし、大衆受けしてしまったことで批判が少なくなるようなおとなしい内容になるだろうと思っていました。
深夜番組がゴールデン進出したら途端につまらなくなるやつです。
新海誠監督の過去の作品
注目すべきはERG作品にかかわっていることですが……
まずはアニメ映画だと下記の作品です。
- ほしのこえ (2002)
- 雲のむこう、約束の場所 (2004)
- 秒速5センチメートル (2007)
- 星を追う子ども (2011)
- 言の葉の庭 (2013)
- 君の名は。 (2016)
minori社のERGのオープニングムービーを手掛けていました。
シナリオが優れた作品が多いのが特徴です。
- BITTERSWEET FOOLS (2001)
- WIND -a breath of heart- (2002)
- そよかぜのおくりもの (2002)
- はるのあしおと (2004)
- ef -the first tale- (2006)
- ef -the latter tale- (2008)
他にCMムービーも作っています。
- 信濃新聞 (2007)
- 大成建設「ボスポラス海峡トンネル」篇 (2011)
- 大成建設「スリランカ高速道路」篇 (2013)
- Z会「クロスロード」 (2014)
- 大成建設「ベトナム・ノイバイ空港」篇 (2014)
- 大成建設「シンガポール」篇 (2018)
ちなみにZ会「クロスロード」は君の名は。の原型だと思います。
YOU TUBEで見てみてください。
天気の子
正確にはここまでが前段です。長々といい加減にしろよとお思いでしょうが、ここまでの前段がないと理解できないところがあるのです。
ネタバレにならないように抽象的な表現で書いていきます。
セカイ系でかつ2000年代前半のERG(それも泣きゲー(※1))そのものであるシナリオです。
メインヒロインがCMに出まくってる陽菜です。
サブ(メイン)ヒロインは夏美、先輩ですね。先輩についてはみればわかります。
人によっては四葉や島の幼馴染もヒロインで個別ルートがあるようです(※2)。
私には夏美ルート、先輩ルート、陽菜ルート(Normal、Trueの2ルート)、BADエンド数通りしか見えませんでした。映画本編は陽菜Trueルートです。(※3)
家出した主人公東京でヒロインに遭遇し、ヒロインの特殊能力を生かす方法を主人公が思いつき、仲が深まっていきます。
終盤の見せ場は、東京の状況と自分の状況を踏まえてのヒロインの選択と、それを見た主人公とその周辺の人々の選択です。
※1:泣きゲーとは、お涙頂戴系のノベルゲームのこと。シナリオのできが良ければ私は好きです。
※2:君の名は。の主要登場人物が登場します。
※3:ERGですから(笑)
ところどころご都合主義的な展開や、ちょっと無理のある展開があります。
セカイ系ですから、ファンタジーですし好き嫌いが分かれるのは間違いありません。
ましてやシナリオはERGそのものです。過去に関わっていたからというのもあるとは思いますが、無難な内容になるどころか尖りまくった内容です。一般受けしにくい、キモオタ向けの作品です。そして、物語が次のフェイズに進むごとに挿入歌が入ります。まるでERGです。全国の映画館にフルアニメーションのERGを観客にオートプレイでプレイさせるわけです。分岐なしの低価格ERGと考えれば2時間1900円というのはぴったりの価格です。
名立たる大企業がスポンサーにつき、各メディアで持ち上げられながら、それらへの配慮・忖度をせず、君の名は。に対する批判を挑発するような作品を出してきたわけです。
加えて、君の名は。への批判に対しても真っ向からケンカを売ります。
下記リンク先で新海誠監督がこんなことを言っています。
『代償もなく死者をよみがえらせる映画である』あるいは『災害をなかったことにする映画である』という批判は、すごくずしんと重くくるものがあって。
そういう言葉を浴び続けて、じゃあ次に作る映画をどういうものにしようと。僕の映画『君の名は。』を強く批判した人たちに批判されないようにするべきなのか。あるいは違うやり方があるのか。その時に僕が出した結論は『君の名は。』を批判してきた方々たちが見て『もっと批判してしまうような映画』を作らないといけないと思いました。
「君の名は。」から「天気の子」へ 新海誠監督の格闘 “称賛” “批判”を受けとめて|けさのクローズアップ|NHKニュース おはよう日本
君の名は。で付いた新規顧客とスポンサーと君の名は。を酷評した人たち(何様だよという批判や罵倒をしている人がたくさんいましたね。)にドロップキックをかまし、彼らが困惑している中、従来からのメインターゲットであるオタクに「こういうのが見たかったんだろ?ついてこいよ!」と言わんばかりに煽り立てているわけです。そしてその思惑通りにネットでオタクが騒いでいるのです。
ロックです。
天気の子(ネタバレあり)
ここからはネタバレありです。
まだ見てない人はページを閉じましょう。
では、ネタバレありで書いていきます。
どの辺がERGか
選択肢がある
感性の低い私でもこのあたりは選択肢が見えました
- 拳銃を持っていくかどうか
- 陽菜を助けるかどうか
- 異常気象の中での逃亡中に逆さクラゲ(わからない人はググってください)で、陽菜が「晴れてほしい?」と聞かれたときにどう答えるか
- 取調室に入るときに、取り調べを受けるか、脱出を試みるか
3つ目はNormalエンドかTrueエンドかの分岐ですね。他はBADエンドへの分岐ですね。
チョメチョメシーン
逆さクラゲではチョメチョメシーンがカットされてますね。
keyみたいな申し訳程度に入るシーンでしょうね。
CG回収シーンや重要シーンのアニメーション物語が進むごとの挿入歌
こんなところはCGありますよね
- 寺の天井絵
- 雨の中晴れるシーン
- 彼岸でのシーン
- 警察からの脱走後の夏美がスクーターで並走するシーン
アニメーションはこれくらいかな?
- 線路を走るシーン
- 彼岸でのシーン
挿入歌が入るたびに物語のフェーズが進む上に、彼岸でのシーンは間違いなくエンディングですよね。その後はエピローグ。
独断でヒロインが消え、主人公が全てを捨てて会いに行く
クライマックスの流れが2000年代前半のERGそのものです。
陽菜が黙って人柱となり、異常気象を抑えます。陽菜が天へ昇る夢を見て起きた直後、主人公は警察に逮捕されます。パトカーに乗る直前に陽菜にプレゼントした指輪が落ちてきて、陽菜が天へ昇ったことを確信します。
青臭い主人公ですから、警察に「お前らは何もわかってない」、「陽菜が犠牲になったんだ」などと喚き散らし、もちろん相手にされません。
取調室に入る直前で脱走し、その直後にスクーターに乗った夏美に運よく遭遇し脱走が成功します。人生を棒に振って好きな女性に会いに行くわけです。
スクーターでの逃亡から山手線の線路を走って代々木の廃ビルへ向かいます。
陽菜に会いに行くために人生を棒に振って、走って会いに行く。ERGだけでなくアニメでもよくありますが、映えますしかっこいいですよね。
その後は目的地の廃ビルの屋上に上がる直前で待ち構えていた須賀に止められます。そうしているうちに警察に包囲され、世話になった須賀に銃を向けてまで陽菜に会いに行こうとします。
結局、須賀は主人公を逃がします(東京に家出して出会った女性と結婚、事故で先立たれた妻や娘(妻の母親から会わせてもらえない)にただただ会いたいという気持ちと主人公の思いが重なって見えた、ということですかね?事務所で刑事と話していた時も気づかずに泣いてましたし)。児童相談所を抜け出してきた凪先輩もなぜか刑事の足止めに参加します(なんでここに来れるんだよ)。
廃ビル屋上にたどり着き、結果的に陽菜を取り戻せます。異常気象が戻ってきますが。
あちこちにあるご都合主義的な展開も含めて、2000年代前半のERGです。
このご都合主義展開、酷評間違いなし
ご都合主義の連続です。君の名は。を酷評した人たちはそれ以上に酷評するでしょう。
人が生き返る代償もきっちりありますが、気に食わないと思ってる人たちは今度は非現実的だとか言って酷評するでしょう。叩く材料はいくらでもありますからね。
ご都合主義はいけないのか?
リアリティを追求した作品でもないのにそんなにご都合主義がいけないのか?
つまらない現実に対するアンチテーゼとしてのフィクションはリアリティを追求していても必ずご都合主義か非現実的な要素が含まれるでしょう。
ましてやファンタジー要素のあるアニメにリアリティが必要か?その批判はズレてないか?
ご都合主義を入れたうえで描きたいものがあるのではないのか?
人間性の深堀がない、人間ドラマがない、狭いコミュニティの中だけの人間関係なのはいかがなのものか。すべての作品にその要素が必要か?その批判は妥当か?
例えば……
シンゴジラは人間ドラマが魅力だ?ゴジラ作品はゴジラを描けよ!ゴジラにおんぶにだっこじゃないと人間ドラマも描けないのか?ゴジラ映画としてはシンゴジラは下の下で、ゴジラ キングオブモンスターズこそがゴジラ映画だ。ゴジラ映画に人間ドラマは本当に必要か?主役は人間ではなくゴジラであるべきだ。
単体で見るとただのおもしろいアニメ映画、背景を踏まえるとロックな新海誠監督を讃えたくなる
いろいろと突っ込み所はありますよ。拳銃に関してはすべてがうまくいきすぎですし、凪先輩は瞬間移動でもしたのかと突っ込みたいですし、ご都合主義はひどい。それを差し引いても楽しい映画でした。
しかし、上述の背景を考慮すると、私は新海誠監督を讃えたい(何様だという感じですがご容赦を)。ロックです。これで興行収入が良ければ文句が出ても踏ん反り返ることができるでしょう。
まとめ
「君の名は、で爆発的に知名度が上がり、大企業がいくつもスポンサーになってくれたおかげで得た資金を使って2000年代前半のERGを作ってとんでもない数の映画館で一般公開した(もちろん新規ファンのことは一切考えていない)新海誠監督はロックだ」
オナニー記事を最後まで読んでいただき、ありがとうございます。